2009年4月4日土曜日

世界 ファーストフード

マックでバイトしていたこともあるほどファーストフードの好きな私。言葉の通じない国でも、おなじみのファーストフードチェーン店を見つけると妙に安心するし、その国でしか見られないファーストフード(FFとします)を探すのも楽しい。概して手軽で、安価で、外れが少ないFF。FFを巡っては世界中でエピソードがありすぎて思い出せないので、思いだしたときに追加していきます。

*アメリカで見たファーストフード
 
日本でFFといえば、明るくて清潔、マックのお姉さんの素敵な笑顔(スマイル=ゼロ円)、といったイメージがあるが、アメリカには、全く逆のイメージの店も多い(地区による)。
1)立地:日本では駅前や繁華街など人が多いところ。でもアメリカは車社会なので、町の中心や駅前よりも、駐車場スペースが確保できて地価の安い寂れた地区にあったりする。私がよく行ったところは、昼でも、銃を持ったガードマンが入口にいる。夜はとても来れる雰囲気ではないので行ったことはない。
2)清潔さ:日本標準で考えるとびっくりするような店が多いです。紙のシートも引かれていないトレイは油でべちゃべちゃしていて見るからに不潔。店内の清掃も行きとどいていなかったり
3)サービス:本当にひどいです。カウンターのおばちゃん・おじさんは決まって不愛想で、スマイルゼロ円なんてありえません。日本では一度なってみたいという子供も多い「マックのお姉さん」ですが、アメリカでは人気のバイト職種でないことは明らかです。注文を忘れられていて受け取りまで25分待たされたこともあります。不器用な人が多いせいかハンバーガーの作りも雑なことが。
4)客層
日本ではFFと言えば、家族連れや高校生で賑わう、明るく安全で健全な雰囲気がありますが、アメリカでは違います。サンフランシスコのマックに入ったところ、マックのお兄さんが、助走をつけてトイレのドアをけり破っていました。出てきた人は白人中年男性は視線が定まらずふらふらしていました。明らかに麻薬中毒です。トイレの中で吸引してらりってしまい、出てこなくなったため騒ぎになったのでしょう。びっくりしました。
こういうことも多いせいか、FFのトイレの鍵は閉まっていて、利用する人がカウンターでいちいち借りていかなければいけないところもあります。
ポパイはケイジャン料理のFF店。世界展開はしていないようだがアメリカでは各地にある。黒人ばかりが住んでいるその地区のポパイのカウンターは、大きな注意書きが。「靴・服を着用していない人お断り。Shirt and Shoes Required」上半身裸・裸足で入って来ちゃうお客さんがいるってことですね・・・。世界一の経済大国アメリカの貧富の差を肌で感じた瞬間でした。
貧富の差が世界一小さい(私見)日本と異なり、アメリカは階級社会。クラスが上の方はFFを馬鹿にする傾向が強いと感じています。また、クラスとは関係なく、健康面でFF店を敬遠している人も予想外に多かったです。
5)メニュー
よく言われていることですが、サイズが違います。ポテトもジュースも日本の1.5倍くらい。値段も手ごろで、80年代では1ドルでハンバーガーセットが食べれました。99年でも、ビックマック2つで2ドル、とかキャンペーンをやっていました。
6)食べ方・飲み方
日本ではポテトはすでについてある塩だけで食べますが、アメリカ人は必ずケチャップ。紙でできた小さなキャップにケチャップを山盛りにしていきます。飲み物は、カップだけ渡されて自分でマシーンから注ぐ方式が多いです。コーヒーは出してくれます。驚いたのが、コーヒーに、ミルク・砂糖4つずつ頼んでいた客がいたこと。遠慮は全く感じられず、カウンターも女性も当たり前のように対応していました。驚くことではないのかもしれませんが、コーヒーって、ほろ苦さを楽しむ飲み物じゃないんでしょうか。

* 偽物ファーストフード店
マクドナルドは、知名度ナンバーワンのFF。後進国でも模倣店をよく見かけます。イラク北部の町スレイマニア。窓から見えるおなじみの大きくて丸っこい黄色いM。「えっ、イラクにマックが?」と思ったら微妙にスペルが違って「マドーナルド」。トーゴのロメ、スーダンのカルツーム、シリアのダマスカスいろんなところで偽物マックを見ました。なぜか「反米国家」に多いのが興味深いです。模倣店の存在はアメリカ人気のバロメーター。政府とは異なり庶民はアメリカ文化大好きだったりするのです。
KFCもよく使われますね。たいていはKが地名や主人のイニシャルになっています。例えばKotakinabaru Fried Chickenの略でKFCとか。東チモールのディリ、インドネシア各都市、マレーシア等アジアに模倣店が多いですが、世界あちこちでも見かけました。東チモールでみたKFCの看板は、色もデザインも本物そっくりなので一瞬びっくりするのですが、実は仕立て屋か何かで、カーネルサンダースの代わりにご主人と思われる人の絵が書いてありました。

* FF店がありそうでなかった国。ファーストフード店を巡る政府の規制
アフリカのモーリタニアだとかチャドだとかに米系FFがないことは想像できます。政情不安・人口が少ない上に、地元の物価に合わせたら利益が出ないし、価格を高く設定しても来るような外国人在住者・観光客がほとんどいないからです。
けれど、国民所得も十分で、外国人在住者・観光客が多いのに、米系FF店が全くない国もあります。
・チュニジア チュニスは地中海に面した都市で、夏はヨーロッパ人観光客で賑わいます。しかし、在住アメリカ人に聞いたところ、地元産業を保護するために、大手米系FFの参入を禁止しているのだそうです。マックとかスタバとかあったら、欧米人はそっちに流れちゃいますからね。
・サウジアラビア
一人当たりのGDPが世界一($86,669、2008, CIAFactbook)になったカタールに代表されるように湾岸アラブ諸国は国民所得が高く、かつ石油関連企業などで働く欧米人も多いので、米系FFはあってもよさそうです。実際ドバイやクウェート、などにはあるのですが、ジェッダでは見当たりませんでした。見落としの可能性はありますが、ワッハーブ派の強い庶民感情や宗教警察の手前、政府がアメリカ系のFF店を認可しにくいのかもしれません。


* なさそうな国にあった本物FF店
・サモアのアピア 
マクドナルド マックのロゴの入ったユニフォームを着た従業員ラグビーチームの写真がでかでかと貼ってあったりする。マックの柄のアロハシャツを着て鞄を肩に掛けで歩いている女性を見た。(写真あり)マック柄のパクリだ・・・。観光客のほとんど来ない太平洋の島国サモアにマックなんてあるわけないから、そう思った。ところが、私はそのあと本物マックを発見したのだ。そして、カウンターの中には女性とお揃いのアロハシャツの面々。・・・彼女はマックのお姉さんだった。ユニフォームを家から着てマックへ通勤途中だったのでしょうか。それとも普段着として利用?それってマックの衛生基準を満たしてないと思うのですが・・・サモアらしいです。
・パキスタンのイスラマバード 
テロリストの巣窟・反米国家の代表と思われているパキスタン。ISB国際空港を出て正面にマックがあります。いかにもテロで狙われそうですが、狙われたという話は聞いたことがありません。私もドキドキしながらも何度か利用させてもらいました。暑いのに外で食べている客が多いです。テロが怖いのか欧米人は自分で買いに来ないで、パキスタン人に買ってきてもらうようです。
・クウェートのマック
・セントルシアのKFC 

* ファーストフードで見た風景
FF店はヒューマンウォッチングや現地の暮らしを把握するのに適したところでもあります。FFを通じて社会が見える。

・エジプト
初めてのアフリカ大陸。初めてのカイロ。到着したばかりで、為替レートもよく認識していない頃。とりあえず落ち着こうと思って、ぼったくられそうもない欧米系ファーストフードに入りました。英系WIMPYsです。あとでレートを計算しながら確認したところ、2000円くらいぼったくられていたことがわかりました・・・。カイロではFFでも息が抜けません。
イスラム国でも欧米系FF店では男女の席は分かれていません。女性や家族連れをまじかで見れる貴重な機会。マックで、乳児をテーブルにのせておむつを替えているお母さんがいました。乳児は靴もはいたまま。誰も気に留める人はいません。

・エストニア 
マックで私の前に並んでいた4-5人のグループ。カウンターでロシア語で注文していました。客席でもロシア語があちこちから聞こえます。エストニアは、ロシア系住民が多いのでそれ自体は不思議ではないですが(私をラトビアでヒッチハイクさせてくれたエストニア人は、職場でロシア語を話さない日はないと言っていました)・・・。あとで聞いたところでは、エストニア系の若者はフィンランド資本のFFチェーン店(名称失念)に行くんだそうです。エストニアはバルト海を隔てたフィンランドと言語・民族的つながりが強いからでしょう。ロシア兵の銅像を撤去して国家レベルのサイバーテロを起こされてしまったエストニア。民族感情の対立がロシア系マックを作ってしまったのですね。

・クウェート
マック。他の湾岸諸国同様、従業員は全員外国人。カウンターはフィリピン人のゲイのおネーさんでした。ハラールミート(イスラム教の方式に従ってアラーの名を唱えながら屠った動物の肉)使用であることが、店舗に明記されています。2階に上がると、大きな窓から、砂っぽい町並みとモスクが見えます。白いおばQ民族服を着て頭の上に布と輪っかを乗せたアラブ人がハンバーガーをほおばっています。

*日本人と海外のFF
・ニカラグア バーガーキング
偶然出会った日本人自衛隊員4人組と町をぶらついていました。4人組は、私服でかつ休暇で来ているのですが、2列x2列の正方形になって行進していました。「危ないから」とか言って。確かに首都のマナグアちょっと危ないですが、明らかに浮いているので笑えて仕方ありませんでした。そんな彼ら、FFがないと生きていけないというのでバーガーキングに入りました。セットメニューにさらにハンバーガーなどを追加して食べています。さらに、帰り際にまたレジに並びました。ハンバーガーを持ち帰っておやつにするそうです。冷めたハンバーガーなんて私は食べたくないし、一日2回はうんざりです。4人ぴったりそろって行動、4人そろってFF中毒っていうのがおかしかったです。
・アメリカ マクドナルド
英語が通じなくて苦労した初海外のアメリカ。車の中から黄色のMを見つけて、「あ、マクドナルドだね」とホストファミリーに言ってみるも、通じません。発音が全然違うのです。中西部の英語では「メクドーノー」でドーのところにアクセントを置くと通じることがわかりました。
その話を友人にしたところ、グアムで「Make donuts! メイク・ドーナッツ」と言われて何の事だか分からなかったが、マクドナルドのことだったそうです。グアム発音で特にそう聞こえるのかもしれませんが、なるほど自分でそのとおり発音してみるとネイティブのそれに近く聞こえると感じました。マクドナルドと言っても通じないときは「メイク・ドーナッツ」と言ってみてはいかがでしょうか。

* 世界の街角ファーストフード
世界共通の味をどこでも提供するマクドナルドやKFCがある一方で、国や地域特有の街角FFもたくさんあります。中には、おいしいのになぜか他の国に伝わらず、その国でしか食べられないものもあります。目の前で繰り広げられる実演が楽しいし、店の人とちょっとした会話も楽しい。レストランで気まずい思いをしやすい一人旅の味方でもあります。私の好物で言うと、
・エジプトのコシャリ(短いパスタ、マカロニ、ライスなどにトマトソースとスパイスがかかったスナック)、
・オランダのクロケット(チーズクリームシチュー入コロッケ、ちょっと塩辛い)、
・エルサルバドルのププサ(トウモロコシ粉の生地の中にそぼろ肉など)、
・ロシア他のピロシキ(総菜を入り揚げパン。ピロシキナヤという専門店あり)、
・トルコのアダナ・ケバブ(スパイシーな串焼き)や鯖サンド、7
・レバノン他のファラフェル(ひよこ豆コロッケのサンド)、
・中国の包子(ジューシーな肉まん。日本のとは別物です。)
・ベトナムのネム(春雨・海老などの入った春巻)、そして、
・たこ焼き(日本)・・・。
機会を見つけて、そのうちまとめてみたいです。

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